恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
『まあいいわ。久しぶりに会えたんだし、食事をしながらゆっくり話をしましょう』
『はい』
『それで? そちらで隠れていらっしゃる女性はどなたかしら?』
突然声をかけられ、私はビクッと肩を揺らした。要さんの後ろに隠れてやり過ごしたかったけれど、これ以上失礼な態度を取るわけにもいかない。
私は小さく息を吸い込み、覚悟を決めて一歩前へ出た。
『は、初めまして。時任副社長の秘書をしております、橋爪みのりと申します』
『あら、秘書さん? ふーん……』
奥様は意味ありげに微笑みながら、私の頭の先から足元までをじっくりと眺めた。
まるで品定めでもするかのような視線に、背筋がそわそわと落ち着かなくなる。
『彼女は優秀な秘書でして、ゆくゆくは妻にしたいと考えているのですが、なかなか頷いてくれないんですよ』
そんな私の緊張などお構いなしに、要さんは爽やかな笑顔のまま爆弾発言を投下した。
『ええっ……!?』
思わず大きな声が出る。
(こんな場面で、どうしてそんな話をするの!)
抗議の視線を向けても、要さんはどこ吹く風だ。
『私の嫁探しを断っておいて、選んだのが彼女なの?』
奥様の目が細められる。先ほどよりもさらに鋭くなった視線が、再び私の全身をゆっくりと上下した。
その視線を受けながら、私はふと初めて要さんに会った日のことを思い出す。
帰国したばかりの要さんから、いきなり恋人役を頼まれたあの日。当時は、周囲からの縁談や面倒事を避けるためなのだろうと軽く考えていた。
けれど今なら分かる。要さんがあれほど急いで恋人役を必要としていた理由。その原因の一端は、間違いなく目の前にいるこの奥様だったのだ。
『はい』
『それで? そちらで隠れていらっしゃる女性はどなたかしら?』
突然声をかけられ、私はビクッと肩を揺らした。要さんの後ろに隠れてやり過ごしたかったけれど、これ以上失礼な態度を取るわけにもいかない。
私は小さく息を吸い込み、覚悟を決めて一歩前へ出た。
『は、初めまして。時任副社長の秘書をしております、橋爪みのりと申します』
『あら、秘書さん? ふーん……』
奥様は意味ありげに微笑みながら、私の頭の先から足元までをじっくりと眺めた。
まるで品定めでもするかのような視線に、背筋がそわそわと落ち着かなくなる。
『彼女は優秀な秘書でして、ゆくゆくは妻にしたいと考えているのですが、なかなか頷いてくれないんですよ』
そんな私の緊張などお構いなしに、要さんは爽やかな笑顔のまま爆弾発言を投下した。
『ええっ……!?』
思わず大きな声が出る。
(こんな場面で、どうしてそんな話をするの!)
抗議の視線を向けても、要さんはどこ吹く風だ。
『私の嫁探しを断っておいて、選んだのが彼女なの?』
奥様の目が細められる。先ほどよりもさらに鋭くなった視線が、再び私の全身をゆっくりと上下した。
その視線を受けながら、私はふと初めて要さんに会った日のことを思い出す。
帰国したばかりの要さんから、いきなり恋人役を頼まれたあの日。当時は、周囲からの縁談や面倒事を避けるためなのだろうと軽く考えていた。
けれど今なら分かる。要さんがあれほど急いで恋人役を必要としていた理由。その原因の一端は、間違いなく目の前にいるこの奥様だったのだ。