恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 とにかく今は、奥様を怒らせないように切り抜けるしかない。

 要さんがわざわざロサンゼルスまで飛んで来るほどなのだ。ブラウン家は、TOKITOグループにとってそれだけ重要な取引先なのだろう。

『まあいいわ。せっかく日本から来てくれたんだもの。今日はたっぷりおもてなしをするわ』

 先ほどまでの鋭い視線が嘘のように、奥様はにっこりと微笑んだ。

『楽しみです』

 要さんも慣れた様子で応じている。

 奥様に案内され、私たちは洋館の中へと足を踏み入れた。

 重厚な扉を抜けた瞬間、思わず息を呑む。

 玄関ホールは吹き抜けになっていて、見上げるほど高い天井から巨大なシャンデリアが輝いていた。

 正面には映画や海外ドラマでしか見たことのないような大階段があり、優雅な曲線を描きながら二階へと続いている。

『す、すごい……』

 あまりの豪華さに圧倒され、それ以外の言葉が出てこない。

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