恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 十時間以上の長旅になるというのに、席が離れるなど考えられなかった。経費で落ちないというなら構わない。

 その程度の金額なら、俺が自分で払えば済む話だ。驚いた表情を浮かべるみのりをよそに、カウンターで半ば強引に座席の変更手続きを済ませる。

 呆然としてたみのりも最終的には諦めたのか、小さくため息をついていた。

 そうして長いフライトを終え、俺たちはロサンゼルスへ到着する。

 空港の到着ロビーでは、すでにスティーブンが待っていた。俺たちの姿を見つけた瞬間、大きく手を振りながら駆け寄ってくる。

『カナメ!』

 懐かしい声に自然と口元が緩んだ。

『スティーブン。迎えに来てくれてありがとう』

 もちろん会話は英語だ。

 久しぶりの再会を喜びながら固い握手を交わす。相変わらず人懐っこい笑顔に、ロサンゼルスへ戻ってきたのだという実感がようやく湧いてきた。

『初めまして。時任副社長の秘書をしております。橋爪みのりです』

 流暢な英語での会話に、知らなかっただけに驚く。

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