恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
「笑ってる場合じゃないですよ! いいんですか? 創立記念パーティーがお見合い会場になりますよ!」

「それは困ったなぁ」

 その口調からは、困った様子など微塵も感じられない。

「もう! 本当に私は知りませんよ!」

 初対面の頃、要さんから提案された恋人役は丁重に断った。なのに今は、私の心情にも少しずつ変化が生まれている。

 もし今、奥様のお眼鏡にかなう女性が現れて、要さんに本当の恋人ができたら——そう考えただけで、胸の奥がきゅっと苦しくなるのだ。

 この感情は尊敬からくるものなのか。それとも——

 その先を認めたくない自分がいる。

 元カレと再会し、長年抱えていたわだかまりから解放されたことで、『恋はいたしません』と断言していた気持ちが揺らいでいるのは確かだった。

 あんな男のせいで、青春時代を無駄にしたと思うと今でも悔しくなる。

「まぁまぁ、落ち着け」

 要さんは苦笑しながら私をなだめる。

「俺にも考えがある。それには、みのりの協力が必要不可欠だ」


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