恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 今度は、何かを企んでいるような黒い笑みまで浮かべているではないか。

「何か策があるんですか?」

「俺を誰だと思ってる? 任せろ。大丈夫だから」

 その自信は一体どこから湧いてくるのだろう。不安でいっぱいの私とは対照的に、要さんは余裕たっぷりだ。私の心配なんて、要さんの前では無意味に思えてくる。

「もうっ」

 モヤモヤしている私を見て、要さんは楽しそうに笑った。

「部屋に戻って、もう少し飲もう。美魔女の相手は疲れた」

 どうやら私が口にした「美魔女」という言葉が、かなり気に入ったらしい。自分で繰り返しては可笑しそうに笑っている。

 会社ではクールな御曹司として知られているけれど、知れば知るほど意外な一面が見えてくる。そんな素の要さんに、私は少しずつ惹かれているのかもしれない。

 スイートルームに戻ると、シャンパンクーラーが用意されていた。その隣には、色鮮やかなフルーツが盛られた皿まで並べられている。

 ブラウン家でご馳走になったおかげでお腹は十分満たされていたが、こうした気遣いはやはり嬉しい。これが高級ホテルのスイートルームならではのおもてなしなのだろう。



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