恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
「先にシャワーを浴びよう。そうしたら、途中で寝落ちしても大丈夫だろう?」

 会社から空港へ向かい、それから長時間のフライト。到着後、私は要さんに起こされるまで昼寝をしていた。でも、要さんは一睡もしていないらしい。飛行機の中で多少は仮眠を取ったのかもしれないが、眠くないのだろうか。

「はい。要さんは、眠くないんですか?」

「ああ、大丈夫だ」

 そう言われると、それ以上は私が口を出すことでもない。私は素直にベッドルームへ戻り、シャワーを浴びて汗を流した。化粧もしっかり落として、気分もスッキリする。

 鏡の前に立ち、ドライヤーで髪を乾かしていると、ふとあることに気づいた。

「あっ……私、スッピンだ」

 普段から化粧はそれほど濃くないけれど、それでもスッピンを晒していいものだろうか。

 でも、今からわざわざ化粧をするのは面倒だ。それに、今さら隠したところで意味がない気もする。

 そう自分に言い聞かせながら、私はメガネをかけるのも忘れたまま、リビングへ向かった。

――カチャッ

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