恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 注目を浴びながら食べるランチは、本来なら美味しいはずなのに、こんな状態では味なんてまったく感じられなかった。

「どうした? 体調でも悪いのか?」

「い、いえ」

 食べなければ、要さんに余計な気を遣わせてしまう。だから私は、無理やり料理を口へ運び、お腹に流し込むように食べ続けた。

「さあ、行くか!」

「はい。そろそろ、どこへ行くのか教えてもらえませんか?」

「ああ、ショッピングだ」

「えっ……?」

(それなら先に教えてくれたら、こんなに悩む必要なんてなかったのに……)

 胸をなで下ろした私の安堵など、要さんは微塵も気づいていない。ショッピングがそんなに楽しみなのかと思うほど、彼は終始ご機嫌な様子だ。

「気合いが入るな!」

 ショッピングに気合いが必要なのだろうか。

 今日の要さんは、いつにも増して何を考えているのかわからなかった。もしかすると、セレブのショッピングというのは、こういうものなのかもしれない。一般人の私には、まったく理解できなかった。

 ホテルの前でタクシーに乗り込むと、要さんは運転手に目的地を迷いなく告げた。

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