恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
緊張で身体が強張っている私とは対照的に、要さんは終始楽しそうな表情を浮かべながら、ゆったりと歩みを進めていく。
一歩……また一歩……会場へ近づくたびに、胸の鼓動はさらに大きくなっていった。すれ違う人たちは皆、私たちへ強い視線を向け、その姿をじっと目で追っている。
玄関ホールを抜けると、ついにメイン会場が視界いっぱいに広がった。そこには煌びやかな衣装に身を包んだ人々が、グラスを片手に楽しげに談笑している。その輪の中心には、本日の主役であるブラウン夫妻が、にこやかな笑みを浮かべて立っていた。
「まずは挨拶だな。覚悟はいいか?」
「は、は、は、はい!」
私たちが会場へ足を踏み入れた瞬間、それまで談笑していた人々の視線が自然とこちらへ集まってくる。そしてまるで示し合わせたかのように、人々がゆっくりと左右へ分かれ、ブラウン夫妻まで続く一本の道が開けていった。
その場の空気が変わったことを敏感に察した奥様が、周囲との会話を止め、ゆっくりとこちらへ視線を向ける。
『本日はお招きいただきありがとうございます。創立記念、誠におめでとうございます』
『……』
要さんが丁寧に祝辞を述べても、奥様から返事は返ってこなかった。まるでその言葉が耳に入っていないかのように、私たちを見つめたまま、驚いた表情でその場に固まっているではないか。
一歩……また一歩……会場へ近づくたびに、胸の鼓動はさらに大きくなっていった。すれ違う人たちは皆、私たちへ強い視線を向け、その姿をじっと目で追っている。
玄関ホールを抜けると、ついにメイン会場が視界いっぱいに広がった。そこには煌びやかな衣装に身を包んだ人々が、グラスを片手に楽しげに談笑している。その輪の中心には、本日の主役であるブラウン夫妻が、にこやかな笑みを浮かべて立っていた。
「まずは挨拶だな。覚悟はいいか?」
「は、は、は、はい!」
私たちが会場へ足を踏み入れた瞬間、それまで談笑していた人々の視線が自然とこちらへ集まってくる。そしてまるで示し合わせたかのように、人々がゆっくりと左右へ分かれ、ブラウン夫妻まで続く一本の道が開けていった。
その場の空気が変わったことを敏感に察した奥様が、周囲との会話を止め、ゆっくりとこちらへ視線を向ける。
『本日はお招きいただきありがとうございます。創立記念、誠におめでとうございます』
『……』
要さんが丁寧に祝辞を述べても、奥様から返事は返ってこなかった。まるでその言葉が耳に入っていないかのように、私たちを見つめたまま、驚いた表情でその場に固まっているではないか。