恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 どう考えても、御曹司である要さんと一般家庭で育った私では、身分が違いすぎる。

「それは誰が言ったんだ?」

「えっと……」

 確かに、誰かにそう言われたわけではない。それでも、世間一般ではそういうものなのではないかと思ってしまう。

「俺がみのりを選んだ。それでいいじゃないか」

「本当に……いいんですか?」

「みのりがいいんだ」

 その言葉に嘘偽りがないことは、真っ直ぐに私を見つめる表情から十分すぎるほど伝わってきた。

「要さん……よろしくお願いします」

 もう、これ以上自分の気持ちを否定する理由はない。上司としても、一人の男性としても尊敬できる人が、ここまで真っ直ぐに想いを伝えてくれているのだから。

「ありがとう」

 この瞬間、恋人役でも婚約者役でもない。私たちは、本当の恋人になった。

 そこへ——

 本日の主役の一人である、ひときわ存在感を放つ美魔女が、私たちに向かって一直線に歩いてくるではないか。

 きっと、ご主人の容態も落ち着き、一通りの対応も終えたのだろう。今の汚れた格好では、この華やかなパーティーには相応しくない。私は追い出される覚悟を決め、その場で静かに彼女と向き合った。


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