恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
『ふっ……カナメ、素敵な女性を選んだのね』

『でしょう?』

『ミノリさん、あなたは主人の恩人よ。もしあそこで倒れて身体を強く打ちつけていたら、大ケガをしていたと思うわ。当然のことだと言うけれど、あの場面で自分の身を張って行動できる人なんて、そう多くはいないのよ』

 ――それは、要さんの相手として認めてもらえた、ということなのだろうか。

『でも、こんなに乱れてしまって……』

 乱れたドレスや髪を見下ろしながら小さくつぶやく。周囲を見渡せば、煌びやかなドレスに身を包んだ美しい女性たちが目に入り、急に恥ずかしさが込み上げてきた。

『いいえ。誰よりもあなたが輝いているわ。本当にありがとう』

 奥様は私の両手を優しく包み込むように握ると、そのままぎゅっと私を抱きしめてくれた。

『奥様……』

『皆さま、こちらの女性が本日の主役です! 私たち夫婦の恩人であるミノリさんに、どうぞ温かい拍手をお送りください』

 その声に、会場中の視線が一斉に私へと集まる。次の瞬間、大きな拍手が会場いっぱいに響き渡った。

 さっきまで私に嫉妬や好奇の視線を向けていた人たちも、今は誰一人そんな目をしていない。それほどまでに奥様の言葉には重みがあり、その存在は誰も逆らえないほど大きなものだった。


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