恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 しばらくして体調を取り戻したご主人が、再びパーティー会場へと姿を現した。その元気そうな様子に、来客たちからは安堵の空気が広がっていく。

『ミノリさん、本当にありがとう』

 すでに何度も感謝の言葉をいただいていたけれど、ご主人は改めて私に向き直り、心からの礼を丁寧に伝えてくれた。

 そのタイミングで失礼する許可をいただき、私たちはパーティー会場をあとにする。

 迎えに来ていたリムジンへ乗り込んだ瞬間、それまで張り詰めていた緊張の糸がぷつりと切れたように、全身から一気に力が抜けてしまった。

「みのり、お疲れさま……」

 耳元で聞こえた要さんの優しい声を最後に、私は安心感へ身を委ねるように、車内で静かに眠りへと落ちてしまう。

 翌朝、目を覚ますまで一度も起きることなく、私はぐっすりと眠り続けていた。

 どうやって部屋まで戻ってきたのか――そんな疑問は残ったものの、それを確かめる勇気はまだなくて、いつか機会があれば聞いてみようと心に決める。

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