恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 パーティー会場に到着すると、案の定、俺たちへ一斉に注目が集まった。

 いつものように俺へ下心を隠そうともしない女たちの視線。そして、みのりへ遠慮なく熱を帯びた視線を向ける男ども。

 今回のパーティーが俺の『嫁探し』の場だと聞いていた女たちは戸惑いを隠せず、一方で男たちは、みのりの息をのむような美しさに思わず見惚れている。

 正直、今すぐにでも男たちの視線を遮ってしまいたいところだが、ここで騒ぎを起こすわけにはいかない。 俺は余裕の笑みを顔に貼りつけたまま、何事もないようにその場をやり過ごした。

 まずは、このパーティーの主役であるブラウン夫妻のもとへ挨拶に向かう。

 俺たちが歩みを進めるたび、周囲にいた招待客たちは自然と左右へ身を寄せ、一本の道を作ってくれた。

 その空気の変化を敏感に察した奥様が、ゆっくりとこちらへ視線を向ける。

『本日はお招きいただきありがとうございます。創立記念、誠におめでとうございます』

『……』

 俺の挨拶など耳に入っていないのか、奥様は一言も返さず、みのりだけをじっと見つめたまま驚きに目を見開き、その場に固まっていた。

 予想していた通りの反応だ。

 俺はその様子に満足し、胸の内で小さくほくそ笑む。

 ここまでは、すべて完璧に計画通りだった——ところが、その直後、俺の予想を大きく覆す出来事が起こった。


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