恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 ドレスの裾についた汚れを気にしているみのり。そんなもの、これから何着でも俺が買ってやる。

「みのり、君はどんな姿でも美しいよ」

 突然の言葉に、みのりは驚いたように目を見開く。だが、今の言葉は気休めでも慰めでもない。まぎれもなく、俺の本心だった。

「本気だ。最初は軽い気持ちで恋人役を頼もうと思っていた。でも、初めて出会ったあの日——俺は、みのりに恋をした」

 日本へ帰国すれば待っているのは、独身で御曹司という肩書きだけを目当てに群がる女たちだ。本社へ戻ること自体に不安はない。ただ、そのことだけがずっと引っかかっていた。

 だからこそ、まさか本社の秘書課に、みのりのような素晴らしい女性がいるとは夢にも思わなかったのだ。

「私は恋愛初心者ですし、それに、ただの秘書で……」

 恋愛初心者——なんて心惹かれる響きなんだ。これから少しずつ、俺だけを見て、俺だけを想ってくれればいい。

 そして、ただの秘書なんかではない。今のみのりは、誰にも代えられない俺の右腕であり、俺にとってかけがえのない存在だ。

「俺がみのりを選んだ。それでいいじゃないか」

 肩書きも立場も関係ない。俺が愛したのは、みのりという一人の女性なのだから。


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