恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦

エピローグ

 私たちはスティーブンの運転する車で、空港へと向かっていた。

『もう帰っちゃうんだな……』

 ぽつりと漏らしたその声には、名残惜しさが滲んでいる。

『ああ、日本で仕事が待ってるからな』

 要さんが穏やかに答えると、スティーブンは小さく笑ったものの、その横顔はどこか寂しそうだった。

『スティーブンさん、ぜひ日本にも遊びに来てくださいね!』

『優しいなぁ。今回はミノリのお陰で何もかもうまくいったよ』

 私は思わず首を横に振る。

 私は何もしていない。すべてがうまくいったのは、二人がこれまで築き上げてきた信頼関係と、お互いの確かな実力があったからだ。

 日本に帰れば——また秘書としての日常が始まる。だけど、一つだけ以前とは違うことがあった。

 私はもう、メガネをかけて地味に見せることをやめようと決めている。これからは、自分を隠すようにこそこそ生きる必要なんてない。

 それどころか、要さんの隣に立っても恥じることのない自分でいられるように、胸を張って前を向いて生きていこう。そんな決意が、私の中には確かに芽生えていた。

 そんな新たな意気込みを胸に、私たちは空港へと到着したのだが——


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