恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 希望の部署は秘書課だったようだが、コネ入社の彼女が選ばれるはずもなく……

 私が秘書課に配属されたことに対して、かなり御立腹だったらしい。当時も文句を言われたことを、ふと思い出す。

「あなたを待ってたのよ! 要様の秘書になったんですって? 信じられない! 私と代わりなさいよ!」

 私を待ち伏せしていただけでも驚きなのに、いきなりとんでもないことを言い出した。

「そんなことを言われても……私が決めたわけではないので」

「私がどれだけ要様に憧れてると思ってるの? そのために、この会社に入って、ずっと帰国を待ってたのに!」

 そんな不純な動機で入社していたことに驚く。待っていたと言うくらいだから、以前から副社長の存在を知っていたのだろう。

「はぁ……」

 私にいくら力説されても、どうすることもできない。文句があるなら、本人に直談判してほしいものだ。

「ずっと私をバカにしてるでしょう! 覚えてなさい! 私が要様と結婚したら、あんたなんて辞めさせてやるんだから! パパに頼んだら簡単よ!」

(パパに頼むって……。こんなお嬢様がいるから、恋人役なんて仕立てようとするのか……御曹司は大変だなぁ)

 私には関係ないと、呑気に同情していた。

 ところが、最悪のタイミングで、最悪の事態になる――
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