恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
「はぁ……やっと見つけた!」

「きゃあ、要様! もしかして私を探していたんですか⁉ 嬉しい!」

 私は突然声をかけられて足止めされたことで、副社長から逃げ出していたことを、すっかり忘れてしまっていた。

 しかも麗美はどこまでおめでたい思考回路をしているのか、つかつかと副社長の前まで走り寄り、そのまま馴れ馴れしく腕に絡みつく。

「離せ!」

 その瞬間、副社長の表情がピキッと固まり、次の瞬間には思いきり腕を振り払ったのだ。

「きゃぁ……!」

 振り払われた勢いのまま床に倒れ込んだ彼女は、副社長を見上げたまま、驚きに目を見開いて固まっている。まさか自分がこんな扱いを受けるとは、夢にも思っていなかったのだろう。

「ふっ……俺から逃げるとは、いい度胸だな」

 麗美の存在など最初からなかったかのように無視して、妖艶に微笑みながら真っ直ぐ私に向かって言い放つ。周囲からは何事かと、好奇の視線が一斉に集まっていた。

「えっと……」

 こんなにもギャラリーがいる中で、どう答えればいいのか正解がわからずに戸惑う。そんな私の心情を見透かしたように、副社長は私の耳元へと顔を寄せ、低く囁いた。

「ここで恋人宣言でもするか?」
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