恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
社長室へ戻るのだと思っていた。けれど案内された先は地下駐車場で、そこには高級車が何台も並んでいる。場違いな場所に足を踏み入れてしまった気がして、私は戸惑っていた。
「何を突っ立ってるんだ? こっち」
「は、はい」
逃げ出したい衝動をどうにか抑え、副社長のあとを追う。彼は一台の高級車の前で足を止めた。真っ白で、隅々まで手入れの行き届いた『TOKITO』のSUV車。洗練されたその車は、副社長の雰囲気によく似合っている。
ピピッ――と解錠音が鳴ってライトが光り、静かな駐車場内にやけに大きく響いた。
「どうぞ」
助手席の扉を開けられ、乗るよう促される。けれど、ここで素直に乗り込んでしまって本当に大丈夫なのだろうか。私は一瞬、躊躇した。
「ここに居たら、誰が来るかわからないぞ。役員だけじゃない。営業部の連中も車を置きに来るからな」
そう言われて周囲を見回すと、『TOKITO』の営業車がずらりと並んでいるのが目に入る。こんな場面を誰かに見られでもしたら、社内で面白おかしく噂にされるのは目に見えていた。
副社長と一緒にいるところを見られるか、素直に車へ乗り込むのか――天秤にかけるまでもなく、私の選ぶ道は決まっている。
「お、お邪魔します……」
「何を突っ立ってるんだ? こっち」
「は、はい」
逃げ出したい衝動をどうにか抑え、副社長のあとを追う。彼は一台の高級車の前で足を止めた。真っ白で、隅々まで手入れの行き届いた『TOKITO』のSUV車。洗練されたその車は、副社長の雰囲気によく似合っている。
ピピッ――と解錠音が鳴ってライトが光り、静かな駐車場内にやけに大きく響いた。
「どうぞ」
助手席の扉を開けられ、乗るよう促される。けれど、ここで素直に乗り込んでしまって本当に大丈夫なのだろうか。私は一瞬、躊躇した。
「ここに居たら、誰が来るかわからないぞ。役員だけじゃない。営業部の連中も車を置きに来るからな」
そう言われて周囲を見回すと、『TOKITO』の営業車がずらりと並んでいるのが目に入る。こんな場面を誰かに見られでもしたら、社内で面白おかしく噂にされるのは目に見えていた。
副社長と一緒にいるところを見られるか、素直に車へ乗り込むのか――天秤にかけるまでもなく、私の選ぶ道は決まっている。
「お、お邪魔します……」