恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
「かしこまりました」
私はアルコールを嗜む程度には飲めるものの、決して強いほうではない。ビールの苦味も少し苦手なので、飲みやすそうなカクテルを注文した。
「俺は、シャンパンを」
「かしこまりました」
しばらくして運ばれてきたカクテルは、見た目にも華やかで可愛らしい。SNSに載せたら映えそうだと思ったけれど、残念ながら私はSNSをやっていない。それでも思わずスマホを取り出し、記念に写真を撮った。
一方、要さんのシャンパンはボトルごと運ばれてきて、銀色のクーラーで冷やされている。その光景だけでも、普段とは違う特別な時間を感じさせた。
「乾杯」
要さんの言葉に合わせて、私もグラスを持ち上げる。
軽く掲げたグラスの向こうで目が合い、少しだけ胸が高鳴った。
カクテルに口をつけると、ほどよい甘さと爽やかな香りがふわりと広がる。
「美味しい」
「そうか」
短い返事なのに、その表情はどこまでも優しかった。穏やかな眼差しを向けられるだけで胸がドキッとしてしまい、自分でも呆れてしまう。
(ドキッとするなんて、まるで恋する女子みたいじゃない……)
そんなことを考えた私は、心の中で自分自身にツッコミを入れた。
その後は仕事の話をしたり、海外赴任中の出来事を聞いたりしながら、ぽつりぽつりと会話を楽しんだ。無理に話題を探さなくても、沈黙が気まずくなることはない。むしろ、その静けささえ心地良く感じられる。
穏やかな時間が流れていた、その時――
――トゥルルルル……
要さんの胸ポケットから、着信音が響いた。
私はアルコールを嗜む程度には飲めるものの、決して強いほうではない。ビールの苦味も少し苦手なので、飲みやすそうなカクテルを注文した。
「俺は、シャンパンを」
「かしこまりました」
しばらくして運ばれてきたカクテルは、見た目にも華やかで可愛らしい。SNSに載せたら映えそうだと思ったけれど、残念ながら私はSNSをやっていない。それでも思わずスマホを取り出し、記念に写真を撮った。
一方、要さんのシャンパンはボトルごと運ばれてきて、銀色のクーラーで冷やされている。その光景だけでも、普段とは違う特別な時間を感じさせた。
「乾杯」
要さんの言葉に合わせて、私もグラスを持ち上げる。
軽く掲げたグラスの向こうで目が合い、少しだけ胸が高鳴った。
カクテルに口をつけると、ほどよい甘さと爽やかな香りがふわりと広がる。
「美味しい」
「そうか」
短い返事なのに、その表情はどこまでも優しかった。穏やかな眼差しを向けられるだけで胸がドキッとしてしまい、自分でも呆れてしまう。
(ドキッとするなんて、まるで恋する女子みたいじゃない……)
そんなことを考えた私は、心の中で自分自身にツッコミを入れた。
その後は仕事の話をしたり、海外赴任中の出来事を聞いたりしながら、ぽつりぽつりと会話を楽しんだ。無理に話題を探さなくても、沈黙が気まずくなることはない。むしろ、その静けささえ心地良く感じられる。
穏やかな時間が流れていた、その時――
――トゥルルルル……
要さんの胸ポケットから、着信音が響いた。