恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
高校時代の元カレの名前が『貴明』だった。
だからその名前を耳にしただけで、心臓がバクバクと嫌な音を立てる。決して珍しい名前ではないし、まさか本人なわけがないと思う。それなのに、急に胸の奥がざわつき、息苦しさを覚えた。
「お前なぁ……この前も財布が欲しいって言うから買ったばかりだろう?」
「だってぇ~、みんな彼氏にプレゼントしてもらってるよぉ」
「それは誕生日とか記念日だろう……」
甘ったるい声でおねだりする彼女と、それを窘める彼氏。聞くつもりがなくても、カップルの会話は自然と耳に入ってくる。
しかも、その彼氏の声は嫌でも私に元カレを思い出させた。
気になり始めると、もう駄目だった――振り向くべきではないとわかっている。
見たところで何もいいことなんてない。それでも怖いもの見たさというのだろうか、私はつい後ろを振り返ってしまった。
そっとカウンター席の方へ視線を向ける。すると――
「あっ、もしかしてお前! みのりじゃないか?」
「……っ」
男性とバチッと目が合ってしまう。そして最悪なことに、その男性は私を真面目で面白くないと言った元カレの『貴明』だった。
「ええ~、この地味な人が貴明の知り合い?」
だからその名前を耳にしただけで、心臓がバクバクと嫌な音を立てる。決して珍しい名前ではないし、まさか本人なわけがないと思う。それなのに、急に胸の奥がざわつき、息苦しさを覚えた。
「お前なぁ……この前も財布が欲しいって言うから買ったばかりだろう?」
「だってぇ~、みんな彼氏にプレゼントしてもらってるよぉ」
「それは誕生日とか記念日だろう……」
甘ったるい声でおねだりする彼女と、それを窘める彼氏。聞くつもりがなくても、カップルの会話は自然と耳に入ってくる。
しかも、その彼氏の声は嫌でも私に元カレを思い出させた。
気になり始めると、もう駄目だった――振り向くべきではないとわかっている。
見たところで何もいいことなんてない。それでも怖いもの見たさというのだろうか、私はつい後ろを振り返ってしまった。
そっとカウンター席の方へ視線を向ける。すると――
「あっ、もしかしてお前! みのりじゃないか?」
「……っ」
男性とバチッと目が合ってしまう。そして最悪なことに、その男性は私を真面目で面白くないと言った元カレの『貴明』だった。
「ええ~、この地味な人が貴明の知り合い?」