恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
 みのりをあの場で足止めしてくれていたことには感謝している。だが、もしあいつがみのりの敵になるというのなら、俺も容赦するつもりはない。

 この容姿と御曹司という肩書のせいで、これまでどれほど面倒な思いをしてきたことか。だからこそ、帰国後の仕事環境には正直不安を抱いていた。

 だが実際には、隅田の人選のおかげで想像以上に快適な環境が整っており、仕事も驚くほどスムーズに進んでいる。

 彼女――みのりは有能で、仕事中は一切女を感じさせない。いや、それどころか――そんな彼女に、俺のほうが惚れてしまった。

 どうしても手に入れたいという欲望を必死に押さえ込みながら、日々仕事に向き合っている。

 彼女の過去に何があったのか。それが知りたくて、今夜はあえて連れ出した。

 時任家が長年贔屓にしている鮨屋へ、これまで女を連れて行ったことは一度もない。自分のテリトリーを知られたくないという思いが、人一倍強かったからだ。

 そんな俺が、彼女だけは別だと思っている――いや、別だと確信していた。みのりなら大丈夫だと。

 理屈ではなく、野生の勘のようなものが、彼女こそ運命の相手だと告げていた。

 地味な装いをしていても隠しきれない存在感。そして誰もが認める有能な仕事ぶり。

 彼女を採用した人事担当者を、思わず褒めたくなるほどだ。
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