恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
「あの……」
そろそろ秘書課のメンバーが出勤してくる時間だし、できることならさっさと副社長秘書室へ逃げ込みたいのが本音だ。
そんなことを考えていると、廊下の向こうからきゃっきゃと楽しそうな話し声が聞こえてくる。
「「「おはようございます」」」
「おはようございます!」
「「「……」」」
私が笑顔を作って挨拶を返した瞬間、場の空気があからさまに凍りついた。その反応は、先ほどエントランスで向けられた視線を思い出させる。
何事かと思って周囲を見渡せば、全員がそろって私を睨んでいるではないか。まるで私だけが敵であるかのような空気に、思わず息を呑んだ。
「室長! 秘書が副社長の評判を下げるなんて、言語道断だと思います!」
草薙が一歩前に出ると、室長に向かって強い口調で言い放つ。しかし、私にはその言葉の意味がまったくわからなくて、困惑の表情を浮かべた。
「草薙さん、それはどういう意味でしょうか?」
戸惑いながら尋ねる室長に、草薙は呆れたように眉をひそめる。そしてここぞとばかりに攻め立て始めた。
「そのままの意味です! 週末に、そこの秘書が副社長とホテルにいたと噂になっています! しかも、その動画まで出回っているんです!」
「なっ……!」
思わず声にならない声が漏れる。そんな動画が拡散されているなんて、まったく知らなかった。だから皆、あんな目で私を見ていたのか。
エントランスで突き刺さるような視線を向けられた理由が、ようやく理解できた。
まさかあの姿を誰かに見られていたなんて――
ましてや動画まで撮られ、それが社内で広まっているなんて、予想すらしていない。背筋を冷たいものが這い上がり、私は思わず言葉を失った。
そろそろ秘書課のメンバーが出勤してくる時間だし、できることならさっさと副社長秘書室へ逃げ込みたいのが本音だ。
そんなことを考えていると、廊下の向こうからきゃっきゃと楽しそうな話し声が聞こえてくる。
「「「おはようございます」」」
「おはようございます!」
「「「……」」」
私が笑顔を作って挨拶を返した瞬間、場の空気があからさまに凍りついた。その反応は、先ほどエントランスで向けられた視線を思い出させる。
何事かと思って周囲を見渡せば、全員がそろって私を睨んでいるではないか。まるで私だけが敵であるかのような空気に、思わず息を呑んだ。
「室長! 秘書が副社長の評判を下げるなんて、言語道断だと思います!」
草薙が一歩前に出ると、室長に向かって強い口調で言い放つ。しかし、私にはその言葉の意味がまったくわからなくて、困惑の表情を浮かべた。
「草薙さん、それはどういう意味でしょうか?」
戸惑いながら尋ねる室長に、草薙は呆れたように眉をひそめる。そしてここぞとばかりに攻め立て始めた。
「そのままの意味です! 週末に、そこの秘書が副社長とホテルにいたと噂になっています! しかも、その動画まで出回っているんです!」
「なっ……!」
思わず声にならない声が漏れる。そんな動画が拡散されているなんて、まったく知らなかった。だから皆、あんな目で私を見ていたのか。
エントランスで突き刺さるような視線を向けられた理由が、ようやく理解できた。
まさかあの姿を誰かに見られていたなんて――
ましてや動画まで撮られ、それが社内で広まっているなんて、予想すらしていない。背筋を冷たいものが這い上がり、私は思わず言葉を失った。