恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
「なっ!? なんで?」

「なんで、はこっちのセリフだ。どうしてお前がTOKITOの本社にいるんだ?」

 やはりそのことが気になっていて、わざわざ待ち伏せしていたのだろう。

「それは……考えたらわかるでしょう? ここで働いているからよ」

「ま、まさか! そんな見栄を張ったって、嘘ならすぐにバレるんだぞ!」

 どうしても私がTOKITOグループの本社で働いていることが信じられないらしい。貴明の表情は引き攣り、露骨な敵対心が滲んでいた。

「信じたくない気持ちはわかるけど、さっきも会ったんだから証明されたはずよ。私はここで働いているの」

「ふんっ、ビルの掃除でもしてるのか?」

「そんなわけないでしょう? もういい? さようなら」

 これ以上相手にするのも馬鹿馬鹿しくて、私はその場を立ち去ろうとした。

 ――なのに。

「おいっ! まだ話は終わってない」

 背後から呼び止められ、肩を掴まれて思わず足を止めてしまう。
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