恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
「みのりの顔を見て、無事な姿を確認してくる!」

「仕事は⁉ どうするんですか?」

「すぐ戻ってくるから!」

 背後から隅田の声が聞こえるが、そう言い残して駐車場へ向かいながらみのりに連絡を入れる。すると、彼女はすでに自宅へ帰っているという返事をくれた。

 その言葉を聞いて、張り詰めていた胸の奥が少しだけ緩む。

 先週末——タクシーでマンションまで送っておいて正解だった。

 聞き出していた部屋番号を頼りに、彼女の部屋へと急ぐ。エレベーターが上昇するわずかな時間さえ、まるでスローモーションのように長く感じられた。

「みのり!」

 エレベーターを降りて、彼女の姿を確認した瞬間、無意識のうちにその身体を抱きしめていた。

 この腕の中でみのりの温もりを感じて、ようやく全身から力が抜けていく。

 今、確かに彼女は俺の腕の中にいる——その事実だけで、どうしようもなく安堵した。

 女除けのつもりで、恋人役を軽い気持ちで提案。それなのに、彼女のメガネを外したあの日——俺は完全に落ちた。

 それだけじゃない。

 彼女が仕事に真摯に向き合う姿勢も、周囲に流されず自分の責任を果たそうとする強さも、実際に仕事をしている姿を目の当たりにするたびに胸を打たれた。

 気づけば、みのりを知れば知るほど惹かれている自分がいる。

 そして今は、彼女を失うかもしれないと考えただけで、こんなにも恐ろしくなるほどに——

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