恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦

一難去ってまた一難

 元カレの問題が片づき、ようやく平和が訪れた——そう思っていた。

 トラウマの原因となった男は、蓋を開けてみれば見た目だけで中身のない、あの頃から何ひとつ成長していない男だった。そんな相手の言葉をずっと引き摺っていたのだと思うと、私はなんて無駄な時間を過ごしていたのだろうと呆れてしまう。

 あの出来事さえなければ、大学時代や社会人になってからも、恋人ができていたのかもしれない。

 でも、恋愛を諦めたからこそ、仕事に打ち込めたのも事実だ。おかげで社会人生活は充実しているし、仕事も楽しい。

 今の生活に、特別な不満はない。

 だからこそ、副社長の秘書になったことで少なからず注目を集めている今の状況は、本意ではなかった。

 私の同期や秘書課のメンバーの中にも、要さんを狙っている女性は多い。もし本当に恋人役を演じることになれば、面倒なことになるのは目に見えている。

 私は、このまま平穏な毎日を送りたい。それが今の、たったひとつの願いだった。

 でも世の中そんなに甘くはない。
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