恋をしない秘書と恋に落ちた御曹司の甘くて危険な攻防戦
道井さんが重厚な扉を静かに開き、私たちを中へと通してくれる。広々とした執務室の正面にあるデスクには、貫禄のある男性が腰を下ろし、こちらへ鋭い視線を向けていた。
「初めまして。TOKITOグループの時任要と申します」
「君が要くんか。お父上からは、時々話を聞いているよ」
「このたび帰国し、本社へ戻りましたので、ご挨拶に参りました。今後ともよろしくお願いいたします」
要さんは落ち着いた口調でそう告げ、田中社長に向かって丁寧に頭を下げた。
「ああ、こちらこそよろしく頼むよ」
形式的な挨拶をひと通り交わしたあと、私たちは勧められた応接用のソファへ腰を下ろした。私は少し後ろの位置に立ち、二人のやり取りを静かに見守る。
すると田中社長は、意味ありげな表情を浮かべながら口を開いた。
「で? わざわざ突然面会を申し込んできたんだ。何か用があったんじゃないのか?」
やはり突然の面会要請だっただけに、田中社長も単なる挨拶だけではないと感じていたのだろう。
「はい。実は――」
要さんは表情を引き締めると、麗美とその父親が行ってきたこと、そして現在の状況について、一つひとつ包み隠さず説明し始めた。
「なっ……! それは……!」
話を聞き終えた田中社長は大きく目を見開き、驚きのあまり言葉を失っている。無理もない。まさか自社の役員が取引先との関係を利用し、その見返りのように娘をコネ入社させていたなど、想像すらしていなかったはずだ。
さらに、その裏で行われていた数々の不正や圧力についても知らされ、社長の表情はみるみる険しさを増していく。
「初めまして。TOKITOグループの時任要と申します」
「君が要くんか。お父上からは、時々話を聞いているよ」
「このたび帰国し、本社へ戻りましたので、ご挨拶に参りました。今後ともよろしくお願いいたします」
要さんは落ち着いた口調でそう告げ、田中社長に向かって丁寧に頭を下げた。
「ああ、こちらこそよろしく頼むよ」
形式的な挨拶をひと通り交わしたあと、私たちは勧められた応接用のソファへ腰を下ろした。私は少し後ろの位置に立ち、二人のやり取りを静かに見守る。
すると田中社長は、意味ありげな表情を浮かべながら口を開いた。
「で? わざわざ突然面会を申し込んできたんだ。何か用があったんじゃないのか?」
やはり突然の面会要請だっただけに、田中社長も単なる挨拶だけではないと感じていたのだろう。
「はい。実は――」
要さんは表情を引き締めると、麗美とその父親が行ってきたこと、そして現在の状況について、一つひとつ包み隠さず説明し始めた。
「なっ……! それは……!」
話を聞き終えた田中社長は大きく目を見開き、驚きのあまり言葉を失っている。無理もない。まさか自社の役員が取引先との関係を利用し、その見返りのように娘をコネ入社させていたなど、想像すらしていなかったはずだ。
さらに、その裏で行われていた数々の不正や圧力についても知らされ、社長の表情はみるみる険しさを増していく。