カットNG、恋はOK ~髪フェチ美容師は失恋女子を放っておけない~
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シャンプー、ブロー、トリートメントを経て完成したのはショートボブ。
鏡の中にいるのは、失恋の夜に飛び込んできたときとはまるで別人だった。
軽くなった白い首筋、新しい自分の輪郭。栞奈は鏡の向こうの自分と対峙して感嘆の息をつく。
スタッフたちも歓声をあげていた。
「かわいい!」
「峰岸さん、今回も最高ですね」
蒼人は無言で栞奈の髪を整えている。だが、どことなく嬉しそうに見えた。
撮影も無事に終わって、スタッフが片付けを始めたころ。栞奈がコートを手に取ると、蒼人が呼び止めた。
「浅倉さん」
「はい」
「その……」
珍しく言葉が出てこない。美容師としての蒼人はいつも静かで迷いがない。なのに今は目が泳いでいる。
「髪の状態を確認したいので、このあと……」