ただいま緊急で婚約破棄を望んでいます!
 私はクリス様の胸にぎゅっと抱きしめられながら、なんだか、不思議な気持ちだった。

 確かに転生したものの、アンネローゼはこの王子様のことを愛していると言えるほどに大好きでだからこそ、近づく聖女ヒロインに嫌がらせをしたわけで……最終的には決して許されない罪、悪魔召喚にまでたどり着いてしまう。

 何もしなければ、悪役令嬢のアンネローゼは卒業式で順当に婚約破棄されるはずだったのに……一年間を待ちきれずに、安易な悪魔召喚を使ったのかもしれないけど、それって、逆効果におわったみたいですよ……そして、うろ覚えの前世知識については、利用しない方が良いという学びを私は得た。

 うん……急いては事を仕損じるって、このことなのかも。

「アンネローゼ。何があったら心配だから、早めに結婚式をするようにしようか?」

 切なげに呟いたクリス様は、私の顎を持ち上げた。

 キスするつもり……ですよね。私たち婚約者だけど……初めてのキス。

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