俺様鉄面皮上司が偽装彼氏になりまして。
「女の子なのに慣れない仕事して、残業三昧で疲れているんだよね。分かるよ。……そうだ、すはの作るあんかけかた焼きそばが食べてえなおれ。あれ、疲れた時に染みるんだよなー」
 もういい。限界。
 突き飛ばすと、ふらふらしながらも身を起こすやつは、「……は?」と別人のように顔を歪める。
「なに勘違いしてんだよ馬鹿女。ひとが下手に出れば調子こきやがって……」
 ぶつぶつと呪詛を吐くように言う。
「おまえなんか、とりえのない、ご奉仕するしか能のない犬のくせに。仕事にかまけてぼろぼろになってさぁ。おまえみたいな女、誰も相手になんかしねえよ!」
 感情を高ぶらせると一転、またにこにこと笑い、
「だーから、帰ろうよ。すは。……おまえ、おれがいないと生きていけない、弱っちい女だもんなー。おれが、世間の荒波から、おまえを、守ってやるよ」
 手招きをするこんなやつについていきたくはない。
 思考は動くのに、足が、根を張ったように、動かない。
 正直、立っているのでやっと。
 いますぐベッドにダイブしてメイクなんか放置で爆睡したい。一秒でも長く。
 喉が渇いた。ろくに水分もとらずに仕事漬けで潤す暇もなかった。
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