俺様鉄面皮上司が偽装彼氏になりまして。
「きみと別れて俺が新しい彼氏となることが確定している。……きみ、I社の営業だよね? 接待で経費を落とすのもほどほどにしないと……そろそろ審判がレッドカードに手をかける」
「なに言ってんだてめえ……」
 彼氏は反論するがその声に力がない。
 圧倒されているのだ。
「そちらの幹部のヒロタさんとは昵懇(じっこん)の仲でね……いやぁね、このご時世、不景気が長引いておりますから、締め付けなくちゃならんもんで。それにしても近頃の若い者は……と、酒を飲みながらちょくちょくお話しいただいているよ。
 あんまりジャブジャブやっていると、見ているひとは見ているぞ」
 うっ、と顔を赤くし、言葉を詰まらせる元彼氏。勝敗は明らかだ。
 その様子を見届けたうえで、淡々と上司は、
「それでは失礼。……早く帰って彼女の寝かしつけをしたいものでね。今後なにか話があるとしたら俺を通すように。でないと」
 ちょん、と自身の首を軽くチョップしてみせて、
「飛ぶぞ」
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