敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 私はパチパチと瞬(まばた)きを繰り返しながら、信じられない思いで碧人さんの顔を見つめた。
 彼の口からこぼれた〝好き〟という言葉が頭の中でリフレインする。
 これは都合のいい幻聴だろうか。私はパニックに陥り、一瞬で頭が真っ白になった。

「好き、って……碧人さんが、私を?」
「そうだ。俺は最初から偽装結婚のつもりじゃなかった。そうでも言わないと、君が応じないと思って……」

 私たちは利害の一致で始まった関係だったはず。その土台が、彼の告白によって崩れてしまった。
 必死に訴えかけてくる碧人さんの顔が目の前にあるにもかかわらず、遠くに感じてしまうほど頭が混乱して仕方ない。

「ま、待ってください。無理やり結婚させられそうだって言ってたのは?」

 偽装結婚を持ちかけられたあの日の記憶をたどり、私は彼にそっと尋ねた。

『取引先の人から結婚を無理強いされそうになってて。俺は嫌なんだけど、逃げられそうになくてさ』

 あのとき彼がそう言ったのも、とっさについたウソだったのだろうか。

「あれは本当。弘花さんが俺との結婚を画策していたんだ。だから、断る理由がほしかった」
「断る? おふたりは以前、付き合ってたんじゃないんですか? 今でも愛し合っているんですよね?」

 それは胸の奥で引っかかりながらも、なかなかたしかめられずにいたことだった。
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