敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
第一章 ゲームがつなぐ縁
創業から半世紀を迎える『玄武堂書店』。
建物は道路に面する大きな窓が特徴的で、一歩足を踏み入れて自動ドアが閉まった途端、不思議なくらい空気が変わる。
穏やかで優しい時間が流れているこの職場が、私は大好きだ。
「よし、こんな感じかな」
私、倉科陽咲はバックヤードの片隅で、できあがったばかりのポップを両手で掲げ、首を傾けながら眺めた。
【シリーズ累計百万部突破! 待望の最新刊!】
大きめの文字に控えめなイラスト。派手すぎず、それでいてちゃんと目に留まるように何度も書き直したかいはあったと思う。
「陽咲さん、それめっちゃいいっすね」
背後から首を伸ばして覗き込んできたのは、同僚で後輩社員の高見賢也くんだった。
「ほんと? ちょっと地味かなって思ってたんだけど」
「いや、ポップはこのくらいが一番手に取りやすいですよ。あんまりゴチャゴチャしてると逆にスルーされるんで」
賢也くんは、ほかの人と比べて感情の起伏が少ない。
いつも冷静で、言葉のひとつひとつが理詰めで、相手が誰であろうと物おじしない性格だ。
彼がおもむろにダンボールに積まれた新刊を手に取って、パラパラとめくった。
「このシリーズ、そんなにおもしろいんですか?」
「うん。ミステリーなんだけど、主人公のキャラがすごく立ってるの。かけ合いがおもしろくて……え、読んでないの?」
建物は道路に面する大きな窓が特徴的で、一歩足を踏み入れて自動ドアが閉まった途端、不思議なくらい空気が変わる。
穏やかで優しい時間が流れているこの職場が、私は大好きだ。
「よし、こんな感じかな」
私、倉科陽咲はバックヤードの片隅で、できあがったばかりのポップを両手で掲げ、首を傾けながら眺めた。
【シリーズ累計百万部突破! 待望の最新刊!】
大きめの文字に控えめなイラスト。派手すぎず、それでいてちゃんと目に留まるように何度も書き直したかいはあったと思う。
「陽咲さん、それめっちゃいいっすね」
背後から首を伸ばして覗き込んできたのは、同僚で後輩社員の高見賢也くんだった。
「ほんと? ちょっと地味かなって思ってたんだけど」
「いや、ポップはこのくらいが一番手に取りやすいですよ。あんまりゴチャゴチャしてると逆にスルーされるんで」
賢也くんは、ほかの人と比べて感情の起伏が少ない。
いつも冷静で、言葉のひとつひとつが理詰めで、相手が誰であろうと物おじしない性格だ。
彼がおもむろにダンボールに積まれた新刊を手に取って、パラパラとめくった。
「このシリーズ、そんなにおもしろいんですか?」
「うん。ミステリーなんだけど、主人公のキャラがすごく立ってるの。かけ合いがおもしろくて……え、読んでないの?」