敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「倉科さん、大丈夫? なにかされた?」

 ホッと息を吐いたそのとき、京極さんが私のそばへやって来て顔を覗き込んできた。

「警察は? 通報しようか」
「いえ、それは大丈夫です。……今の人、私の父なので」
「え?」

 ひどく驚いた彼の姿を見たくはなかったけれど、ごまかしたら警察を呼ばれてしまいそうで、正直に言うしかなかった。
 父とのあいだになにかトラブルがあることは、今ので一目瞭然だっただろう。

「向こうで話そう」

 私たちは待ち合わせをしていたカフェへ向かった。
 店内へ一歩足を踏み入れると、そこは古民家を改装したような落ち着いた空間が広がっていた。
 道路に面した壁は一面が格子窓になっていて、外から優しい光が差している。

 テーブル席へ案内された私たちは、互いに温かい紅茶をオーダーして話を始めた。

「ごめんなさい。なんか……恥ずかしいところを見られちゃいましたね」

 私がそっと頭を下げると、彼は瞬時に首を横に振った。
 今日だけは、悩みの種になっている父の借金のことを忘れて、楽しくゲームの話をして過ごすはずだった。
 京極さんとなら、きっと盛り上がること間違いなしだったのに。なんだか彼に申し訳ない。
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