敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
「いや、気にしなくて全然いいんだけど……。なにがあったか聞いていいかな?」
「えっと……そうですよね」
「なんでも話してよ」

 彼の真剣な視線が突き刺さる。
 興味本位で聞いたわけじゃなくて、本気で心配してくれているとわかるから、目を逸らすことができなかった。

 私は父が多額の借金を抱えていること、消費者金融だけでなく、タチの悪いところからも借りていること、そのせいで家の前に怖い人たちがうろついていたことを、順を追って話した。

「大変だったね」

 彼は時折驚いた顔をしながらも、真剣に耳を傾けてくれた。なんだかそれがうれしくて、気持ちが楽になって緊張が解けていく。

「お父さん、どうして借金を?」

 頭の奥に押し込めていた記憶が呼び起こされて、息が詰まりそうになった。
 すぐには言葉にできない。膝の上に置いていた手に自然と力が入る。
 それでも、静かに待ってくれている彼の優しさが、私の背中をそっと押した。

「私が中学生のころ、母が病気で亡くなったんですけど……。カフェを開くのが夢だったんです。それで父は、私が本やマンガが好きなのもあって、小さなブックカフェを開こうって計画したんです」

 母を亡くしてショックを受けていた私のために、あのころの父はいろいろと考えてくれていた。
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