敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 彼は食器棚からグラスを出して、アイランドキッチンの隅に移動した。そこにあったのは、一見するとそれとはわからないほどスタイリッシュなウォーターサーバーだった。
 ただの黒い箱に見えているものはおそらくケースで、中に機械が入っているみたいだ。

「とりあえず、これで喉を潤して」
「ありがとうございます」

 手渡されたグラスの水をひとくち飲んだ途端、ビックリして思わず彼のほうを見た。

「え、炭酸水ですね」
「ああ。うん」
「おいしいです」

 この人はいつもウォーターサーバーで炭酸水を飲んでいるんだ……。意識高い系だからモデルみたいにスタイルがいいのかな、なんて思ってしまった。

「これからはここが君の家だ。なんでも自由に使って」

 そう言いながら、彼が私の隣へそっと腰を下ろす。

「ありがとうございます。あらためてですけど、京極さんって……本当にすごい人だったんですね」
「碧人でいいよ。俺たち結婚するんだから。俺も陽咲って呼ぶ」

 そう言われたらそうだ。呼び方は変えなきゃいけない。私は小さく笑みをたたえ、コクリとうなずいた。
〝碧人さん〟と呼ぶのは、とても照れくさいけれど。
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