敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 食べ終わった食器をふたりで片づけ、私はそのあとキッチンで二杯分のコーヒーを淹れた。

「陽咲、ちょっといい?」
「あ、はい」

 カップをトレイにのせてリビングへ行くと、ちょうど自室から出てきた碧人さんが私をソファーへ座らせた。どうやらなにか話があるみたいだ。

「お父さんから渡された消費者金融の借金、今日返しておいたから」
「え、全額返済になってる……」

 彼は、父が私に押しつけた督促状と、振込が完了した明細書を並べ、テーブルの上にそっと置いた。
 督促状は彼から渡すよう言われていたので、素直に従ったのだけれど、あっという間に全額返済されるとは思ってもみなかった。

「ありがとうございます。碧人さんには本当に感謝しています」
「そういう約束だったじゃないか」

 そうだった。私たちはあの日、互いを助け合うと誓ったのだ。だけど、彼に申し訳ないという気持ちが湧いて仕方なくて、自然と視線を下げてしまう。
 父にはこのことは黙っておこう。どうやってお金をつくったのか聞かれるに違いないし、ほかの借金返済も押しつけられそうだから。

「奨学金を借りたって言ってたけど、そっちも俺が」
「いえ。それは私が働いて返します。自分の学費なので」

 いくら碧人さんに金銭的余裕があるとはいえ、なにもかも頼るのはよくない。私は私で自立して、地に足をつけて生きていかなきゃ。
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