敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
碧人さんの運転で区役所に到着した私たちは、建物の外の邪魔にならない場所で記念撮影をし、そのあと無事に提出を済ませた。
今日から私は、倉科姓ではなく〝京極陽咲〟になったのだけれど、もちろんすぐに実感は湧いてこない。だけど結婚したことに間違いはないのだ。
どこかふわふわとした心地のまま、駐車場へ向かって歩き出す。頭の中では、氏名変更による様々な事務手続きや会社への報告などが、まるでお役所仕事のように淡々と巡っていた。
(名字が変わっただけで、中身が変わるわけじゃない。あくまでビジネスライクに、冷静に……)
自分に言い聞かせるように歩いていたそのとき、アスファルトのわずかな段差に靴の先が引っかかる。
「あ」
バランスを崩し、視界がぐらりと傾いた。このままでは無様に転んでしまう。
反射的に目を閉じた瞬間、強い力で腕を引かれ、身体ごと抱き寄せられる。
「おっと……危ない。大丈夫か?」
耳もとで彼の声が聞こえて目を開けると、至近距離にはたくましい胸板があった。
鼻先をかすめる爽やかな香り。そして、身体を支える手の熱がブラウス越しに伝わってくる。
まるで抱き合っているような距離だと意識した途端、心臓が一気に暴れ出した。
「すみません、不注意で……」
今日から私は、倉科姓ではなく〝京極陽咲〟になったのだけれど、もちろんすぐに実感は湧いてこない。だけど結婚したことに間違いはないのだ。
どこかふわふわとした心地のまま、駐車場へ向かって歩き出す。頭の中では、氏名変更による様々な事務手続きや会社への報告などが、まるでお役所仕事のように淡々と巡っていた。
(名字が変わっただけで、中身が変わるわけじゃない。あくまでビジネスライクに、冷静に……)
自分に言い聞かせるように歩いていたそのとき、アスファルトのわずかな段差に靴の先が引っかかる。
「あ」
バランスを崩し、視界がぐらりと傾いた。このままでは無様に転んでしまう。
反射的に目を閉じた瞬間、強い力で腕を引かれ、身体ごと抱き寄せられる。
「おっと……危ない。大丈夫か?」
耳もとで彼の声が聞こえて目を開けると、至近距離にはたくましい胸板があった。
鼻先をかすめる爽やかな香り。そして、身体を支える手の熱がブラウス越しに伝わってくる。
まるで抱き合っているような距離だと意識した途端、心臓が一気に暴れ出した。
「すみません、不注意で……」