敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 ◇◇◇

 倉科さんとの約束の日が訪れた。日常の喧騒から離れ、彼女と好きなゲームの話をして癒されたい。
 ただそれだけを考えて出かけたのだが、待ち合わせのカフェの近くで、中年の男ともめている彼女の姿を見てしまった。
 いや、もめているというより、恫喝されていると言ったほうが近い。すぐさま助けに入ろうと駆け寄ったけれど、男は足早に立ち去ったあとだった。

「警察は? 通報しようか」
「いえ、それは大丈夫です。……今の人、私の父なので」
「え?」

 もめていた相手が彼女の父親だとわかり、どれだけ驚いたかわからない。
 なぜそんなことになったのか、カフェに移動して理由を聞いてみると、父親の借金が原因だった。
 どうやら彼女は長年その状況から抜け出せず、学生時代から父親には苦しめられているらしい。
 とうとう借金の返済を手伝えと、消費者金融から届いた督促状を無理やり渡されたそうだ。

 ずいぶんと勝手な親だな、と怒りが湧いた。娘を愛していないのか?
 もともとは詐欺に遭ったことで借金ができたようだが、そのあとはギャンブルにはまったせいだろう?

「君のことは俺が助ける。借金の件は、俺が返済しておくから」

 気づけばそう口にしていた。彼女が押しつけられた額くらいなら、きっと自分の力だけでなんとかなる。

「俺と結婚すればいい」
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