一番星にキスをする
(信じられない……確かに私から誘ったんだ! それから──)

 その事実から逃げ出したくて、聖は頭を勢いよく左右に振る。

「あっ、思い出したんだ」
「お願い……嘘だと言って……」
「言うわけないじゃん。ワンナイトして、気持ちを自覚して、もうこのまま恋人になるって確信したのに、まるで俺がセフレを提案するみたいな流れになってさ、ちょっとショックだった」
「それは……まだ意識してなかったし……」
「ってことは、今は意識してるってこと? 俺は丸山が好きだけど、丸山も俺を好きって認識で合ってる?」

 体の反応、心の揺れ、その全てが彼を好きだと訴えているように感じた。

「……たぶん合ってる」
「じゃあ俺たち、恋人ってことでいい?」

 もじもじしながら頷くと、修の腕にギュッと抱きしめられる。

「本当は今日声をかけようと思ってたんだ。年末年始は俺と過ごそうって。丸山を落とすためのプランをいっぱい練ってたけど、これは初めての年末年始デートプランに変更だね」
「……年末年始は実家に行く予定だったけど」

 聖が申し訳なさそうに言うと、明らかに落胆した様子で肩を落とす。

「そうだよね……」
「……で、でも泊まらなくてもいいかな。一日だけ挨拶に行けばいいし」

 それは聖の本音でもあった。せっかく付き合うことになったのだから、出来るだけ一緒に過ごしたいと思ったのだ。

(こんな気持ち、久しぶりかも)

 嬉しそうに微笑む修の顔が可愛いく見え、それが妙に照れくさい。

「そろそろ仕事に戻らなきゃ。昼休み終わっちゃうよ」

 修の体を両手で押して距離を取る。そうしないと、いつまでも密着したままになりそうだった。

 ドアに手をかけようとした瞬間、背後から抱きしめられ、その手を握られてしまう。

「聖の二番星にもキスさせてね」

 そう言って修が不意に首元にキスをしながら、胸の下を指で突いたので、二番星が胸のホクロを意味していると気付く。

(どうしよう……体が熱くなる)

 心臓が高鳴る。体が暑くて仕方ない。こんなにも彼が可愛いく見えて、愛おしい。

「私も……修の筋肉に触れたくなっちゃう」
「いつでも触って。これは聖だけのものだから」

 自分の中にもこんなにキラキラした恋心が残っていたことに、聖は驚いた。

 一番星を見つけるたびに、『素敵な恋が出来ますように』と願っていたが、こんなに近くで叶うとは思わなかった。

(修のホクロフェチに感謝しないと。それにあの筋肉にも)

 あの日から彼が追いかけていたのは、聖が探し続けた一番星。

 衝動的に始まった恋だけど、二人の目には互いが誰よりも一番輝いて見えた。
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