空に吹く、風の音を教えて。
…って、

なんで?

どうして私の前に。


「1人で立てそうにないなら…他人に、頼れよ」

「え?」


驚きすぎてじっと見つめてしまうと、弥代くんが先に目を逸らした。


「とにかくオレの神経を逆撫ですることはやめて。…それだけ」

「あ、うん」


そう言い残すと、さっきとは打って変わってひょいひょいと階段を2段飛ばしで駆け上がっていってしまった。


「変な、人…」


けど、きっと、

悪い人ではないんだろうな。

口調はほんとにトゲトゲしてて、初めて真っ向から浴びたからだいぶ深く刺さってしまったけど、

でも、言葉に嘘がないからこそ信じられるっていうか。

…信じて、みようかな。

なんか、私より私の解像度高いのが気になるけど。

なんで、なんだろう?

謎はあるけど、

さっき私の胸を射った、あの言葉に嘘はないと思うから。

そう思ったら、少しだけ胸が軽くなった気がした。

夏休みに吸い込んでさらに膨らんだ灰色のガスを孕んだ肺がほんのちょっと澄んだ。

ガラガラに開けられた窓ガラスの向こうから吹いて来る風はまだベタつくけど、

私の中に変化をもたらす新しい風のように思えた。



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