空に吹く、風の音を教えて。
トゲトゲ言葉に何故か救われた私は想像していたよりも気持ちが沈むことなく体育祭当日を迎えられた。

朝から弟に応援歌なるものを聞かされ、光莉ちゃんにパワーを分け与えろと意味不明なことを言われた。

颯太にとっては大真面目に歌を作り、間接的にも光莉ちゃんにエールを送りたいと思ったのかもしれないけど、それを受け取るのが私じゃなかったら、ただのキチガイだと見なされて通報案件だと思う。

だから、光莉ちゃんには颯太が頑張ってと言っていたとだけ伝えた。


「あ、そういえばさ、昨日理世くんから体育祭頑張ってねって超かわよいスタンプ付きでメッセージ来たんだ!向こうは文化祭の準備中だって。ウチもお互い頑張ろうねって送っといた!」

「そっか、良かったね」


どうやら光莉ちゃんの眼中には颯太はいないようだ。

我が弟ながら一方的過ぎて相手が見えてないって思う。

独りよがりっていうか。

振られる未来しか見えないよ。


「そういえば2週間後の文化祭みんなでおいでって言われたから、そーちゃんも連れて一緒に行こうね」

「うん。颯太も喜ぶと思う」

「真星は何やるんだろう。去年の文化祭の動画とか写真SNSに上がってないか見てみよっと」


光莉ちゃん、顔が恋する乙女そのものなんだよなあ。

推しの話をするときは目がキラキラって感じだけど、好きな人の話題だと慈しむような優しい微笑み方をするんだよね。


それにしても、文化祭か…。

忘れかけていたのに、うっすらとあの日水族館でちらっと盗み見た彼の横顔を思い出してしまう。

これから体育祭、しかも身が入ってなかったらまたトゲトゲネチネチ言われかねないっていうのに、私の心はずんと重くなり重力に抗えず沈んでいく。

せめて試合中だけでも集中して忘れてないと。

じゃないとポカしかねない。

気合いだ、気合い。

プラス、ポジティブシンキング。

私はできる、私はできる、私はできる…。


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