空に吹く、風の音を教えて。
体育祭はいかに避暑地に逃れられるかが大切である。

特に私たちみたいな戦力外選手は…。

団体競技くらいしか出番がない私と光莉ちゃんはお昼前の大仕事ドッヂボールまでの間、大きな木の下を陣取り、それでも足りず日傘を差してクラスメイトの活躍を見守っていた。


「いやぁ、よくやれるよね。見てるだけでしんどいってのに」

「だよね。運動音痴でよかった」

「日焼けしないしのんびり観戦にいそしめるし。…って、おい!18番!何してんの?!今絶対パスミスしたっしょ?!ねえ?!」


自分はやらないけどやはり野次はバンバン飛ばしていく光莉ちゃん。

後で男子サッカーチームに怒られないか心配しているのはきっと私だけで当の本人はあっけらかんとしてる。

言いたいこと言って、

思いっきり大声で叫んで。


…あ、そうか。


ここで、私は気づいてしまった。

二人、似てるんだ。

どっちも譲れない信念があってそれを真っ向からぶつけ合ってる。

お互いが傷つけあうのも厭わずに。


「すごいなぁ」

「ん?なんか言った?てか、風ちんも言ってやってよ!あいつら1年相手にぼろ負けする気かっていうくらいへたっぴだしミスばっかだから!クラスの恥だよ!」


とブツブツ文句を言いつつも応援をやめない。

熱っぽい生き方だな。

すごいなぁ。

とか、思うだけで。

眺めてるだけで、声が出ない。

一生懸命って、どうやるんだっけ?


急に不安の波が押し寄せてきて、30分後に迫ってきている唯一の試合に向けて胃がしくしくしてくる。

こんなんで大丈夫かな、私…。

しきりに朝見たあの余裕の笑みを思い出そうとしても代わりに浮かんでくるのは別の顔で。

それもまた私の胸をきゅうっと締め付け、呼吸を一層苦しくさせるだけ。

こういう行事ごとの時

ずっと誰よりキラキラしていたあの人も、

光莉ちゃんも、弥代くんも、

私よりずっと遠くの高いところで自分で輝きを放っているお星様なんだ。

それに近づきたいなんて、

私もなりたいだなんて、

そんな風に思うのはやっぱり間違いなのかな。

分不相応な願いなのかな。

そんな不安やら心配やらに胸どころか体全体が重くなってきたところで移動の時間になった。


「くっそ!やっぱり負けやがった!絶対勝ち星取り返すよ、風ちん!」

「あ、うん。やれるだけやってみる」


そう言うのが精いっぱいだった。
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