空に吹く、風の音を教えて。
「うぇっ?!」


真横から腕を掴まれてそのまま前に倒れた。

でもボールを当てられてはいない。

ってことは、誰かが私を庇って…。


「やしろんアウト?!マジ?!」


光莉ちゃんの大声が耳を貫く。

咄嗟に顔を上げると弥代くんが息を切らしながらこっちを見ていた。


「ごめんなさい。私のせいで」

「謝るな。そういうゲームだ」

「いや、でも…」

「あぁ、ったく、めんどくせぇ」


言いながら弥代くんは立ち上がる。


「そんな罪悪感抱くんだったらさ」


ちょっと行って

振り返る。


「オレをコートに戻してみなよ。ボール…前線の男子たちに渡せば、誰かしら当ててくれる」

「…うん、分かった。絶対戻してみせるよ」


私がそう言うと弥代くんは子分を手懐けた親分のように満足げに笑った。

私は立ち上がり、普段一言も話さない男子たちに意を決して近寄っていった。


「弥代くんをコート内に戻したいのでご協力…」

「大丈夫!分かってから!」

「アイツいないと回んないしな」


この瞬間、私たち2年1組は初めて一致団結した。

その中心…主軸は弥代くんだ。

みんなから煙たがられていたのに、状況が逆転した。

いや、させたんだ。

実力でもって反感を翻した。


「かっこいい、な…」


なんて思わず呟いてしまうほど。

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