空に吹く、風の音を教えて。
その後、連携プレーが功を奏し、数分余りで弥代くんをコート内に戻すことができた。

そして、3年生相手に大金星を掲げられたのだった。

勝ち上がりのトーナメント戦だから午後からもまた試合だ。

一試合でフラフラの私はもう戦力にはならないから外野スタートにしてもらおう。

そんなことを思いながらお昼を食べに教室に向かっている途中。

私の横をスッと彼が通った。


「あっ。や、や弥代くん!」


他の生徒も行き交う中で呼び止めるのはだいぶ勇気がいった。

弥代くんがこっちを振り返り、大股で引き返して来る。


「オレの苗字、やややしろじゃないんだけど」

「ご、ごめん」


嫌味を言わないといられない性分なんだろうな。

こんな状況でも息を吐くように言えてしまう。

逆にすごい。

嫌味の天才だ。

と、失礼なことを考えていると弥代くんが口を開いた。


「さっきの試合、悪くなかった。ちょっとは本気出したわけ?」

「うん、頑張れた。今までの何倍も。それは…弥代くんのお陰だよ」


私の光に、

道標になってくれたから。

だから、


「ありがとう」


心からのお礼が言えた。


「…あっそ」


相変わらず素っ気なくてちゃんと感謝の気持ちが伝わってるかは定かではないけど、言えて良かった。


「午後も頑張ってね」

「保泉さんもオレの100倍頑張ってね」

「いやいや、私もうそんな力残ってな…」

「言い訳は聞かないから」

「そ、そんなぁ…」


勘弁してください。

と何度も頭を下げても許してもらえるはずもなかった。

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