空に吹く、風の音を教えて。
体育祭は弥代くんの最後のふんばりで劇的なラストになり、大団円で幕を閉じた。


「んじゃ、1時間後、カラオケマヌケイヌに集合な!」

「おう!」

「弥代も来るよな?」

「行かない」

「え?なんで」

「プロはベストコンディションで最高のパフォしないとプロって言わないんだよ」

「は、はぁ?」


聞いているこっちも頭上に疑問符が浮かんだ。

でも、正直なところ、弥代くん疲れてるよね。

だから変なこと言い始めちゃったんだよ。

それに擦り傷程度で済んだからいいけど怪我もしたわけだし、本人は平静を装っているけど満身創痍に違いない。

男子諸君よ、弥代くんのことは休ませてあげて。


「やしろーん!ちょい待ち!聞きたいことがあって!」


光莉ちゃんが出入り口に差し掛かっていた弥代くんに突進していく。

午後から暇を持て余してまだ体力が残ってるからバリバリ走れるよね。

私は無理だけど。

弥代くんは早く帰らせろと言わんばかりに光莉ちゃんを睨みつける。


「何?」

「いやさぁ、リレー前なんか聴いてたっしょ?何聴いてたんかなぁって思って」

「あー、言っても分かんないと思うから言わない」

「えー、ケチぃ!教えてくれたっていいじゃん!友情、深まったっしょ?!その記念に」

「は?そんなに簡単に深まってたまるかっての」

「なにおーー?!せっかくウチが歩み寄ったてのに、なんなのその態度は?!」


と、結局はいつも通り言い争ってから2人は解散していた。

遠くから見ていたけどなんだかんだで仲良しだし、2人お似合いだと思うけど。

でも、光莉ちゃんには月雲くんていう王子様がいて颯太さえ撃沈してるというのに、そこに弥代くんまで参戦となるとさらに光莉ちゃんレースは激動の闘いになるよね。

光莉ちゃん、モテモテですごいなぁ。

それに引き換え私はとほほな感じだけど、今のところ特に不満もないし、私は私でいいんだよね。

そう、教わったから、

私はこのままの自分を愛せるように

少しずつ自分を受け入れていきたいと思う。


教室の窓の外から西日が差し込んでくる。

ジリジリと焼かれそうだとばかり思っていたけど、

今は素直にこの茜色が美しいと思える。

こんな清々しい気持ちになれたのは、

弥代くんのお陰だ。

もう一度だけ心の中でいわせて。


ありがとう。

これからも信じさせてね。


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