空に吹く、風の音を教えて。
音痴の私は当たり前にカラオケを欠席した。

その代わりちゃんと母からお願いされた買い物をして駅前のスーパーから早足で家に向かって歩いていると、見覚えのあるシルエットが目に飛び込んできた。


「あれ?颯太?」


受験勉強なんてしたってしなくたって変わらないとか天才にしか分からない感覚でものを言う弟が音楽…バンドにうつつを抜かしてるのは知っていた。

放課後どこかに寄ってギターを無償で習ってるって言ってたけど、まさか駅前の地下貸しスタジオだったとは。


「ん?」


それともう1人颯太に続いて地下へと降りていく。

背格好と歩き方で、分かってしまった。

でも、なんで?

どうして2人一緒にいるの?

いつどうやって知り合ったの?

などいろんな疑問符が頭の中を駆け巡る。

帰ったら颯太に尋問するしかないか。

いや、でも自然と話してくれるのを待った方が…。

いやいや、でもでも…。

ひとまず鉢合わせしては気まずいから逃げよう。

考えるのはその後で。


残暑は私に宿題を残したまま、去って行こうとしていた。
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