空に吹く、風の音を教えて。
結局最初は浅羽くん、和実ちゃん、月雲くんの所属するクラスのダンスを見た。

みんなホンモノのダンサーみたいにキレッキレで終始圧巻だった。

私みたいな鈍臭いやつには到底無理だ。

来年は川高も文化祭の年だけど、絶対ダンスはやるものかと心に誓った。

なんて、自分の話題にすり替えて考えたりしていたから浅羽くんのことはそんなに気にならずに済んだ。

それにほとんど和実ちゃんのこと見てたし。

ほんと、変わったんだよね。

いじめられて、教室にも入れずにいたのに。

今は生徒会副会長。

努力、したんだよね。

私の知らないところで、

きっと、好きな人のために。

好きな人の隣に並んで遜色ないように、

お似合いだって心の底から祝福されたくて。

そんな和実ちゃんの気持ちがなぜか私には良く分かった。


「風花ちゃん!」


私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

ステージを終えたばかりだというのに和実ちゃんは息を切らす素振りを微塵も感じさせなかった。


「観にきてくれてありがとう。どうだった?」

「すっごくカッコよかったよ」

「かっこいいって1番の褒め言葉だよ。ありがとう」


そして、次はどこに行くの?と聞かれる。

確かに無計画で来ちゃったからこの後のこと全然見通したってないや。

でも、颯太も弥代くんも音楽関係みたいって言ってたし、私はそれに着いて行こうかな。


「私は颯太と…」

「風花はゆうくんと行って。オレはみつりんと回るから!」


あ、そっか。

そう、なるのか。

それはそれでまた…

キツイんだけど。

私が苦笑いになるのを彼は見逃さなかった。


「何?俺と2人そんな嫌な訳?」

「いえ、そんなことは、ございません」

「そんなことございますって聞こえたんだけど」

「違うよ。大丈夫だから」


お願いだから、これ以上困らせるようなこと言わないで。

ある種のいじめだからね。


「じゃあ、2人ずつで行動してるってことだね。私達も14時くらいから一緒に回れると思うからそれまでいろいろ回って楽しんでね」

「あ、うん」


やっぱり少しぎこちない笑みになってしまった。

それを睨まれるというエンドレスループ。

現在時刻11時30分。

残り3時間半もどうしよう。

秋になって長袖でちょうどいい気候になったというのに、全身から火が出そうなくらい熱い。

男子と2人きり。

しかもこのちょいクセ男子と…。

あぁ、どうしよう。

どうしよう。


「んじゃ、最初はオレの用事付き合って。その次は保泉さんが行きたいとこ行く。それでど?」


弥代くん…。

ごめんなさい。

だいぶ警戒してたけど今の言葉に救われたよ。

こういう時自分から切り出すの苦手すぎるから。

私は激しく首を縦に振った。


「そうします!」

「じゃあ、決まり。迷子で呼び出されないように鈍臭い足でもちゃんと着いてきなよね」

「わ、分かりました…」
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