空に吹く、風の音を教えて。
弥代くんを見失わないようしっかり着いて歩くこと数分。


「え?ここ?」

「何?文句でも?」

「いや、なんか意外で…」


甘い匂いが近づいてきてるなぁと思ったらまさかのクレープや屋さんなんて。


「オレの姉クレープ屋やってんの。JK受けのクレープ作りたいから偵察してこいって言われて、それで」

「ふぅん。ていうかお姉さんいたんだ。初耳…」

「言ってないから。初出し情報。良かったね、保泉さん」

「あぁ、うん。…あ、いや、あ、ありがとう?」

「ははっ!なんか感情ぐちゃぐちゃじゃない?おもろ」


いつもニヤニヤって感じなのに、今は破顔て感じだ。

これが弥代くんの心からの笑顔、なのかも。

なんて話しているとあっという間に私たちの番になり、それぞれクレープを注文した。

私が定番のチョコバナナで弥代くんがモンブランを選んだ。


「モンブラン季節感あっていいね。この上に乗ってるのココナッツかも。美味しそう…!」

「保泉さんはそんなど定番で良かったわけ?」

「まぁ、なんだかんだ言ってこれが1番なんだよね。それじゃあ、クリーム溶けないうちに、いただきます」


胃がシクシクして朝から何も食べられていなかったからがっついてしまった。

ダイレクトにチョコの甘さが来てその後バナナのねっとり感と芳醇な香りが追いかけてくる。

クレープなんて久しぶりに食べたけど、やっぱり…


「美味しいっ!高校生が作ったとは思えないよ」

「うん。こっちは甘さ控えめで食べやすい。モンブランクリームはちゃんと栗の味するし、このココナッツがいいアクセントになってる」

「さすが。お姉さんがクレープ屋さんなだけあってコメントが的確」

「そっちこそ、いつもの何万倍も饒舌だけど」

「そうかな?」


私が小首を傾げると、弥代くんの不敵な笑みが復活した。


「え、何?」

「いや、いい人材見つけたと思って」

「だから何の話?」


弥代くんが食べてから話すというから私は一生懸命早く食べた。

もちろんちゃんと味わいつつ出来る限り急いだ。

そしてもう一度聞く。


「改めて聞くけどいい人材ってどういう意味?」


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