空に吹く、風の音を教えて。
「…え?」

「その顔は、やっぱり気づいてなかったんだ」


好き?

浅羽くんが私を…。

今もだけど、あの頃なんの取り柄もなくて地味な子だったのに。

なのに、なんで?


「なんで?って顔してる。ほずみん、分かりやすいね」

「え、いや…その…」

「ほずみんがあの時、驕り高ぶってた俺に真正面に向き合ってくれたから、俺の役割を思い出させて正してくれたから。その心の強さに惹かれたんだよ」


心の強さ…。

そんなの私にあったのだろうか?

軸がブレブレで流されるまま生きて来た私に?

疑問符で頭がいっぱいになる。

私は私のことがますます分からなくなった。


「ほずみん…いや、保泉風花さん」


浅羽くんが立ち上がり、そのまま私の目の前に来てしゃがみこみ、私と目線を合わせた。

そして、冷え切った私の手のひらに自分の手のひらを重ねる。


「ずっと、好き。昔も今もこれからも変わらない。今のキミが何を思ってどう感じてるか、今までどう成長してきたか分からないけど…だからこそ、一緒にいたい。もう一度、今から始めたいんだ。キミといる時間をかけがえのないものにしたい。だから…俺と付き合ってください」


その言葉を真正面から浴びて、私には眩しすぎる光だと思った。

好きだって言ってもらえて、嬉しい。

けど、私はあの頃、浅羽くんの光を利用して輝いてると思い込んでなんとか自尊心を保っていたような、

そんな卑怯なやつなんだよ。

それなのに、こんなにも鋭い直射日光だと

焦がされちゃうよ。


「あり、がと。でも…待って、ほしい。私…」


私がそう言うと、浅羽くんはニカっと歯を見せて笑った。


「もちろん、待つよ。待たせた分、いやそれ以上。ずっと…待ってる。けど、俺これからはちゃんと一緒にいられる時間作るから。覚悟、してて」


苦しかった。

苦しくて苦しくて仕方がなかった。

有り余るほどの光が、

優しさが、

私の心には鋭利な凶器のようにグサッと刺さって

痛かった。


夜空に浮かぶ白い三日月は私たちを見下ろしていた。
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