空に吹く、風の音を教えて。
都内に帰る2人を見送った後、塾の課題をやるといって和実ちゃんは閉店時間まで勉強していた。
そして、私もバイトの終了時間になり、途中まで和実ちゃんと帰ることになった。
「今日はほんとにありがとう。落ち着いた雰囲気だし、お客様もみんな静かにお茶されたり待たれたりしてるから、お陰で課題も進んだよ」
「それは良かった。またいつでもどうぞ」
「うん。定期的に来てみるね」
そう言うと、和実ちゃんはバッグの持ち手をギュッと握った。
にこやかな顔からキリッとするその一瞬を私は見逃さなかった。
「風花ちゃんに話したいことがあるの」
「話したいこと?」
「うん。私にとっても、風花ちゃんにとってもきっとすごく大事なこと」
和実ちゃんの言葉がズシンと重く胸にのしかかった。
一気に私たち2人を取り囲む空気がパリッと張り詰めた。
和実ちゃんは一度目を伏せ、しばらく歩いてから意を決したように、ぎゅっと結んでいた唇を離した。
「わたしね…告白しようと思ってるの。昊透くんに」
「…うん」
「結果も分かってるよ。昊透くん見てれば…イヤでも分かっちゃう。でも、私は伝えたいから伝える。伝えた後気まずくなっちゃったり、もう今までの通りには行かないのかなって不安になったりもしたんだけど。それよりも、今、後悔したくないなって思って。文化祭のミスコンの時の昊透くんの言葉聞いてゆらゆらしてた心がピタッとはまったんだ。だから…風花ちゃん」
和実ちゃんがちょうど分かれ道まで来て立ち止まる。
私は和実ちゃんの瞳のど真ん中に居座った。
逃げちゃダメだ。
そう言い聞かせて。
夜風が頬を撫でる。
薄い上着では肌寒い季節になってきてしまった。
確かに流れた時間を私たちはただ受け入れるしかない。
変わるものも変わらないものも、
どちらも共存出来るように
うまく言葉を交わし、生きていくしかないんだ。
和実ちゃんも私を真っ直ぐ見つめる。
「昊透くんをよろしく…なんて言わないけど、どうか自分の気持ちに正直になって、前向きな決断をしてね」
「うん、分かった」
「…よし、わたしは言いたいこと言えたし、もう大丈夫。冬休み入る前、終業式の時に言うから。もし、昊透くんからなんか不安そうなメッセージ送られて来てもわたしのせいだって思ってね」
「いやいや、それは…」
和実ちゃんは笑った。
今こんな笑顔が出来るのはあの日昊透くんが救ってくれたから。
ずっとその時に抱いた淡い気持ちを持ったまま生きて来たんだろうなって思う。
そんな和実ちゃんを知ってる私だからこそ、和実ちゃんのこれまでの気持ちを無駄にしないように丸ごと抱きしめて私なりの道を選択したいと思う。
その道の先でまた交わったら、ちゃんと報告しよう。
「じゃあ、またね」
私から手を振った。
「うん。またね」
和実ちゃんが手を振りかえし、踵を返す。
その背中には覚悟が見えた。
私が受け止めて、進んでいくから。
和実ちゃんも待たせることになるけど、
もう少しだけ待ってて。
…大丈夫。
私なら、大丈夫だから。
今度こそ、
歩き出す。
そして、私もバイトの終了時間になり、途中まで和実ちゃんと帰ることになった。
「今日はほんとにありがとう。落ち着いた雰囲気だし、お客様もみんな静かにお茶されたり待たれたりしてるから、お陰で課題も進んだよ」
「それは良かった。またいつでもどうぞ」
「うん。定期的に来てみるね」
そう言うと、和実ちゃんはバッグの持ち手をギュッと握った。
にこやかな顔からキリッとするその一瞬を私は見逃さなかった。
「風花ちゃんに話したいことがあるの」
「話したいこと?」
「うん。私にとっても、風花ちゃんにとってもきっとすごく大事なこと」
和実ちゃんの言葉がズシンと重く胸にのしかかった。
一気に私たち2人を取り囲む空気がパリッと張り詰めた。
和実ちゃんは一度目を伏せ、しばらく歩いてから意を決したように、ぎゅっと結んでいた唇を離した。
「わたしね…告白しようと思ってるの。昊透くんに」
「…うん」
「結果も分かってるよ。昊透くん見てれば…イヤでも分かっちゃう。でも、私は伝えたいから伝える。伝えた後気まずくなっちゃったり、もう今までの通りには行かないのかなって不安になったりもしたんだけど。それよりも、今、後悔したくないなって思って。文化祭のミスコンの時の昊透くんの言葉聞いてゆらゆらしてた心がピタッとはまったんだ。だから…風花ちゃん」
和実ちゃんがちょうど分かれ道まで来て立ち止まる。
私は和実ちゃんの瞳のど真ん中に居座った。
逃げちゃダメだ。
そう言い聞かせて。
夜風が頬を撫でる。
薄い上着では肌寒い季節になってきてしまった。
確かに流れた時間を私たちはただ受け入れるしかない。
変わるものも変わらないものも、
どちらも共存出来るように
うまく言葉を交わし、生きていくしかないんだ。
和実ちゃんも私を真っ直ぐ見つめる。
「昊透くんをよろしく…なんて言わないけど、どうか自分の気持ちに正直になって、前向きな決断をしてね」
「うん、分かった」
「…よし、わたしは言いたいこと言えたし、もう大丈夫。冬休み入る前、終業式の時に言うから。もし、昊透くんからなんか不安そうなメッセージ送られて来てもわたしのせいだって思ってね」
「いやいや、それは…」
和実ちゃんは笑った。
今こんな笑顔が出来るのはあの日昊透くんが救ってくれたから。
ずっとその時に抱いた淡い気持ちを持ったまま生きて来たんだろうなって思う。
そんな和実ちゃんを知ってる私だからこそ、和実ちゃんのこれまでの気持ちを無駄にしないように丸ごと抱きしめて私なりの道を選択したいと思う。
その道の先でまた交わったら、ちゃんと報告しよう。
「じゃあ、またね」
私から手を振った。
「うん。またね」
和実ちゃんが手を振りかえし、踵を返す。
その背中には覚悟が見えた。
私が受け止めて、進んでいくから。
和実ちゃんも待たせることになるけど、
もう少しだけ待ってて。
…大丈夫。
私なら、大丈夫だから。
今度こそ、
歩き出す。