空に吹く、風の音を教えて。
私は再び階段を降り、恐る恐るドアノブに手をかけた。

間に合わなくてごめんなさい。

そう心の中で呟きながら、ドアを押す。

中には確かに颯太の言う通り、スタッフの方が数人片付けをしていた。


「あれ?お客さん?もうライブ終わりましたけど、忘れ物とかですか?」

「あ、いえ。そうじゃなくて、その…人を探してて。今日ステージに立ってた男子校生なんですけどいますか?」

「名前教えてくれる?今日演奏してたの大体DKだからさ」


そう、だったんだ。

そんなことも知らないで私は…


「ちょっと?」

「あ、はい。名前は…」

「探し人、俺だよね?」


私の背後からひょいっと顔を覗かせたのは、確かに彼だった。


「弥代くん…」

「まぁちょっと遅れてるけど、今日はクリスマスだし、特別に許す」

「ごめん!本当に、ごめ…」

「これ以上謝んないで。もういいから。とりあえず片付けまだ終わってないからちょっと向こうの楽屋で待ってて」


そう言われた私は弥代くんに促されるまま奥に向かい、終わるのを待った。

片付けを手伝おうかなんて気の利いたことも言えず、私はパイプ椅子に背を預け、天を仰いだ。

そして、さっきの弥代くんの顔を思い浮かべる。


「悲しそうな顔、してたな…」


あんな顔させちゃうなんて。

私が逆の立場だったら、どうだったんだろう…。

そんな悲しんでたのかな?

ただのクラスメイトなのに、

バイトだって分かってるのに、

そんな不確定条件ばかりだったら、

私ならもう諦めてる…と思う。

しょうがないって納得する、はず。

それが出来ないって、

心が狭いってこと?

いや、そうじゃない。

弥代くんはそんな人じゃない。

なら、どうして?

どうしてあんな顔、した…の?
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